教育改革の推進
健康管理
園医さんのワンポイントアドバイス
幼稚園の園医さんによるワンポイントアドバイスをご紹介します。幼稚園園医 宮原小児科医院 宮原道生先生です。
2018年5月『麻しんの流行について』
春の健康診断も無事に?終わりました。ご協力ありがとうございました。インフルエンザも概ね収束しておりますが、まだ完全にゼロになっておらず、局所的に患者さんがおられます。また、4月の冷え込みで感染性胃腸炎が流行しました。幸い皆さん重症にならず、園に戻れているようでしたので、安心致しました。
【麻しんの流行】
さて、沖縄で麻しんの流行が本年3月末から始まり、徐々に患者さんが増加、さらに他の都道府県にも拡大しつつあります。平成2年4月2日生まれ以降の方は、幼児期に1回目、2回目を、年長さん、中学1年生、高校3年生のいずれかで接種されているはずなので、安全である可能性が高いのですが、平成2年4月1日以前に生まれた方は、定期接種は1度しかしておられません。ワクチンを受けたけれど、10年以上経過して、麻しんに罹患した事がない方で沖縄へ行く予定がある場合は、行く前に麻しんワクチンの追加接種を検討いただけると幸いです。ただ残念な事に、麻疹の単独ワクチンは生産量が限られており、割高ですが、流通量の多い麻しん風しん混合ワクチン(MRワクチン)を接種(効果に差はなく、風しんの予防にもなります)する事になる可能性があります。医療機関でお問い合わせ下さい。
【麻しんの一般的な症状経過】
カタル期;最初の3~4日間、咳、鼻水が出て、体温37~38℃前後を推移しますが、とにかく機嫌や具合が悪くなります。発疹期;カタル期の後、全身に発疹がでます。体温はさらに上がり最高で40℃前後になります。4日間くらい続いて相当ぐったりします。回復期;徐々に解熱し発疹が茶色っぽく色素沈着になり、数日して消えます。
【麻しんの合併症】
細菌性でおこる肺炎は、気管支や肺胞に溜まった痰を吸い出し、対象となる細菌に効果のある抗生物質を投与すると症状が改善できますが、①麻しん肺炎の場合、肺胞と血管の間で炎症がおこるため酸素交換ができず、酸素濃度を100%まで上げてもダメな場合は、肺を使わずに体外で酸素を血液に送り込む装置を使うなど、かなり重篤な状態になることもありえます。②脳炎になった場合は死亡する事もあり、救命できても後遺症を来す事も少なくありません。また、麻しん罹患後5~10年くらいして、運動機能や学習能力の障害で気付かれ、徐々に全般的な機能が低下して寝たきりになってゆく③亜急性硬化性全脳炎も非常に稀ですが発症する方もおられます。
【結び】
麻しんは、感染者と直接触れなくても、空気中に漂っているウイルスから感染する事があります。旅行した後に体調不良になった場合には、医療機関の受付で「かならず」お伝えして下さいますようお願い致します。避けられる感染拡大を防ぎたいものです。
<園医>宮原小児科医院 宮原道生先生