教育改革の推進

健康管理

園医さんのワンポイントアドバイス

幼稚園の園医さんによるワンポイントアドバイスをご紹介します。幼稚園園医 宮原小児科医院 宮原道生先生です。
夏休み号 園医さんのつぶやき 「熱中症について」
暑い夏がやってきました。PM2.5の九州への飛散が減少してほっとしたのもつかの間、最近は熱中症の危険度を朝のTV番組でお知らせしてくれるようになりました。
日本生気象学会から「日常生活における熱中症予防指針ver.3」が出ています。
暑さ指数(WBGT;wet-bulb globe temperature、直訳すると湿球黒球温度)が一つの目安になっています。WBGTの単位は℃ですが、湿度や輻射熱も加味した温度になっています。屋外で日射がある場合はWBGT=0.7×湿球温度+0.2×黒球温度+0.1×乾球温度、屋内で日射がない場合はWBGT=0.7×湿球温度+0.3×黒球温度ですが、専用の装置がないと正確に測定できないので、環境省熱中症予防情報を参考にしてください。ちなみにWBGT≧31℃で危険、運動は原則禁止です。7月12日の金曜日がこの状態でした。高校野球の結果をみても、乱打戦になったゲームが散見され、ピッチャーは、さぞきつかっただろうなと思います。彼らは暑熱馴化しているので倒れずにやれたのでしょうが、良い子は真似をしないことを願います(28≦WBGT<31℃で厳重警戒、25≦WBGT<28℃で警戒、21≦WBGT<25℃で注意というランクになっています)。
熱中症で、重症者における未就学児童の割合は多くないのですが、皆無ではありませんので、熱中症になりやすい条件を見て行きましょう。①体力の弱い人②肥満傾向の人③体調不良の人④暑さに慣れてない人⑤風邪など発熱している人⑥我慢強い・まじめ、または引っ込み思案な人、などが熱中症になりやすいと言われています。
梅雨明け前後から熱中症に注意が必要です。気温がそんなに高くなくても、風通しが悪く、急に前日よりも湿度が上昇した時は要注意です。その時に体調が悪くならないようにするには、春の気候が良い時から、軽い運動を週に2~3回程度して徐々に暑さに慣れながら、良い汗を全身から出せるように心がけましょう(特に大人の方)。汗をかきなれていないと、急に熱くなった時に、べっとりとした汗をかいて塩分のロスが多くなり、体温調節もうまくできず、熱中症の危険性が高まります。
夏本番での熱中症予防は、暑さ指数(WBGT)で危険、厳重警戒の日は、直射日光を避け、風通しの良い場所に避難し、こまめに水分補給をすることです。汗で濡れても乾きやすい服装をして、それでも服がびっしょりになったら、こまめに着替える方が良いでしょう。
中高生みたいに激しい運動をするのでなければ、水分はお茶でもよいですが、元気がなさそうな時は尿の色をみて、濃い色だったらスポーツドリンクまたはOS-1やアクアライトなど医療用の経口補水液またはそれに準じた濃度の物が良いでしょう。
個人差が大きいので、一般論をお話しするのは非常に難しいですが、暑さに慣れている人でも熱中症を起こすことはありますので、我慢のしすぎは禁物です。
日常生活における熱中症予防指針ver.3
http://www.med.shimane-u.ac.jp/assoc-jpnbiomet/pdf/shishinVer3.pdf
環境省熱中症予防情報
http://www.wbgt.env.go.jp/
<園医>宮原小児科医院 宮原道生先生
バックナンバー