教育改革の推進

健康管理

園医さんのワンポイントアドバイス

幼稚園の園医さんによるワンポイントアドバイスをご紹介します。幼稚園園医 宮原小児科医院 宮原道生先生です。
12月 園医さんのつぶやき 「ウィルス・インフルエンザにご用心」
園医のつぶやき その19

先月の中旬から寒くなって参りました。冷え込むと悪さを始めるRSウイルス、ライノウイルス、ノロウイルスにかかっておられると思われる(入院される方や給食関係の方など限定的に検査しています)患者さんが増えています。12月には落ち着いていると良いですが。
11月からお子さん対象の肺炎球菌ワクチンが変更になりました。肺炎球菌は93種類あり、10月末までは4、6V、9V、14、18C、19F、23Fという7種類の肺炎球菌への免疫が得られていましたが、11月からはその7種類に1、3、5、6A、7F、19Aの6種類が加わり、13種類となりました。細菌性髄膜炎に罹患する危険性を更に緩和できると期待できます。肺炎球菌による髄膜炎は1歳前後が多いことになっていますが、2歳以上でも発症するかたはおられます。すでに、7価のみで追加分まで接種済みの方で、13価のワクチンを接種したい方は全額負担にはなりますが、2か月以上の間隔を空ければ追加の追加という形で接種可能です。定期接種の途中の方は、公費で接種可能で、途中で切り替えとなります。
 後半はインフルエンザワクチンのお話です。インフルエンザにかかる方、全体でみると30%前後です。私の知り合いに、「インフルエンザにはかからない!」と豪語している人がいます。もちろん、幸運と強靭な免疫に恵まれているのでしょうが、仮にかからない70%がいつまで続くか?13年連続でかからないのは0.9%(0.7の13乗)となります(乱暴な仮定と確率算出なので、話半分にお聞き下さい)。
さて、インフルエンザに感染するということはどういうことか?と考えてみましょう。そりゃ高熱がでるでしょ!と思いがちですが、実際はそうでもないのです。ウイルス感染を起こしても熱がでない人もおられるのです。少しだるい、とか、ちょっと鼻水がでるだけとか・・・。2009年に新型インフルエンザの流行の際、高熱のでない高校生~成人の患者さんがおられました。そうすると、インフルエンザに感染したか否か、という基準は発熱だけでは不完全だということになります。
インフルエンザワクチンを接種しても、感染を完全に防ぐことは不可能です。現行のワクチンでは体内でIgG抗体は産生されますが、これでは感染をブロックすることはできません。IgA抗体の産生ができる、鼻から接種する製品があり(個人輸入)、鼻粘膜で感染をブロックできることが期待できますが、日本では承認されておりませんので、副作用への補償は無く、接種を受ける方の自己責任になります。平成5年までインフルエンザは集団接種を行っておりました。効果がないのでは?ということで平成6年に集団接種が中止となりました。そうしたら平成7年の1月から3月までインフルエンザが大流行し、中には脳症になって亡くなられた方もおられました。抗インフルエンザ薬も開発されましたが、インフルエンザ脳症は、発熱から意識障害が起こるまで数時間と極端に短い方もおられ、抗インフルエンザ薬の投薬が間に合わないケースもあります。感染は防げませんが、ワクチン接種で重症化を防ぐ事も可能な場合もある、と考えられます。もちろん、規則正しい生活、とくに十分な睡眠と食事にまさる健康法はありません。
<園医>宮原小児科医院 宮原道生先生
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