教育改革の推進

健康管理

園医さんのワンポイントアドバイス

幼稚園の園医さんによるワンポイントアドバイスをご紹介します。幼稚園園医 宮原小児科医院 宮原道生先生です。
2017年9月 『食中毒にご注意を!』
猛暑もピークを過ぎ、夜の虫の声に秋の気配を感じる様になりました。
夏休み中の各地から水難事故のニュースに心を痛めておりました。波消しブロック、波止など水中の人工物の周辺は、離岸流が発生しやすいので、秋以降のレジャーでもお気をつけ願います。
また、涼しくなってきたとはいえ、まだまだ食中毒には注意が必要な気温が続きます。ポテトサラダに限らず、食材、調理器具の取り扱いには十分お気をつけ願います。また、セルフで取り分けるシステムになっている場所では、トングなどを握る前に手指の消毒を店舗入り口周辺のアルコールで行う事で、かなり汚染を減らす事ができると思われます。ご自身のみならず、お知り合い、お友達、遠い親戚の方のためと思って下さいますと幸甚に存じます。
平成8年7月に起こった堺市での大腸菌O157による集団食中毒は、衝撃的な事件でした。腹痛、下痢、血便で始まり、最悪の場合、毒素によって細い血管が傷ついて赤血球が壊れたり、特に細い血管によって体に不必要なものをろ過している腎臓が機能しなくなったりすることで溶血性尿毒症症候群(HUS)という状態になってしまいます。腎機能障害が重い場合は人工透析が必要となります。赤血球や血小板の輸血が必要だったり、高血圧、脳障害などを合併したりして、確率は高くありませんが内臓の機能が元に戻らず、不幸な転帰をたどる事もあります。9000人以上の方が食中毒になり、そのうち100名余りがHUSを合併し、残念なことに当時3名の方が亡くなりました。この様な事が繰り返されない事を願います。
 
夏から秋への季節の変わり目のせいか、感染性胃腸炎、RSウイルス感染症やライノウイルス感染症(検査はありません)が少し流行しています。
感染性胃腸炎では、嘔吐・下痢症状が強くてぐったりしている場合には点滴の適応になりますので、あまり放置せずに医療機関を受診されて下さい。腹痛がひどかったり、血便がある場合には細菌性腸炎や、炎症性腸疾患もありえますので、途中で症状が変化した場合には再度受診なさってください。RSウイルス感染症は、1歳未満のお子さんは重症化する危険性がありますので、機嫌や哺乳状況の良し悪しなど、こまめな健康状態のチェックと鼻水の吸引が必要になります。どうぞお気をつけ下さい。
8月後半から、宗像市内でインフルエンザに感染した方がおられる様です。今のところ大流行しておらず、成人の患者さんの比率が高く、全体的には他の感染症が圧倒的に多いのですが、いつどう変化するか分かりませんので、こちらの方もご留意くださいませ。

 さて、9月末は皆さんお待ちかねの運動会ですね。手洗い、うがい、規則正しい生活をして秋バテを防いで、楽しい運動会になりますように。
<園医>宮原小児科医院 宮原道生先生
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