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健康管理

園医さんのワンポイントアドバイス

幼稚園の園医さんによるワンポイントアドバイスをご紹介します。幼稚園園医 宮原小児科医院 宮原道生先生です。
園医のつぶやき その6 『秋の感染性胃腸炎』
園医のつぶやき その6   
『秋の感染性胃腸炎』

秋も深まるにつれ、もみじが期待できそうですが、朝晩が冷え込んできますと、嘔吐下痢症まで、ヒタヒタとやってきます。
その代表選手が、ノロウイルスです。カキ(牡蠣)などの2枚貝や、感染した方の吐物や便、またはそれらのどれかに汚染された食品や生活用品などが感染源となります。ノロウイルスは、電子顕微鏡でないと見ることができないほど小さい(直径約30nm)です。
感染してから数時間から2日くらいの短い潜伏期間で発症することが多い印象です。数回嘔吐をして、その後下痢し始める、というのが典型的な経過ですが、2つの症状がそろわないことや、ちょっとお腹が痛いだけ、という場合もあります。また、こどもだけでなく、おとなにも感染する可能性があります。
診断は便から行いますが、すべての患者さんに行うことを国が許可しておりません。入院・入所されている方で隔離が必要かどうか、調理される方に検査する(保険診療を利用できないこともあります)場合があります。また、特効薬もありませんので、治療は、症状に合わせたお薬の処方または点滴を行う、対症療法のみとなります。
嘔吐を3~4回繰り返す場合、お家に吐気止めの座薬があれば一度使って頂き、30分くらい様子をみて、少しずつ水分を取らせてみましょう。それでも吐き続ける場合、お家に吐気止めの座薬がない場合、または吐気止めの座薬を使ってよいか迷う場合は、医療機関に受診されて下さい。下痢だけの場合は、こまめな水分(OS-1など)の補給を心掛けて下さい。お腹をとても痛がったり、便に血が混ざるようでしたら医療機関受診されて下さい。
感染を予防するには、日ごろの手洗いが大切です。親指の付け根、指と指の間、爪の隙間などは洗い残し易いので、しっかり念入りに洗いましょう(かさつきやすい方は、洗った後、保湿しましょう)。
家族が感染して部屋の中で嘔吐してしまった場合、吐物の処理に注意しましょう。ノロウイルスの消毒にはアルコールは無効ですので、ハイターやミルトンなどの次亜塩素酸ナトリウムを薄めて消毒します。興味ある方は、以下のHP(福山市のものが実践的です)を御参照下さい。使用される場合には、お子さんが直接触ったり、飲んでしまわないよう、くれぐれもご注意ください。
景色、食べ物などなど味わい深い秋を、皆様が楽しく過ごされますことを・・・。


厚生労働省ノロウイルスQ&A
http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/kanren/yobou/040204-1.html
ミルトン ノロウイルス感染対策 基礎と実践
http://milton.jp/pc/norovirus/index.html
福山市 ノロウイルス感染対策
http://www.city.fukuyama.hiroshima.jp/seikatsueisei/shokuhin/noro-news.html
<園医>宮原小児科医院 宮原道生先生
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