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健康管理

園医さんのワンポイントアドバイス

幼稚園の園医さんによるワンポイントアドバイスをご紹介します。幼稚園園医 宮原小児科医院 宮原道生先生です。
園医のつぶやき その9 『叱ること』
園医のつぶやき その9 『叱ること』

体罰問題、だいぶニュースで取り上げられましたね。色々討論していますが、テレビ番組では、個人個人の経験の提示が交錯しているだけのように思えます。本来なら、順序立てて話を進めた方がすっきりしやすいのですが、冗長になりますので、ここでは誤解を生じない程度にまとめてみたいと思います。
 体罰の最もいけないこと、それは「子供の自尊心を傷つけること」です。次に問題なのが、「弱い立場の人間には高圧的に接しても良い」、いわゆるパワーハラスメントの素地を作ってしまう可能性があることです。
 不幸にして自殺されました。労働災害のハインリッヒの法則を持ち出すのは、やや飛躍していますが、1人おられたということは、最低29人は自殺しようかと思ったけれど踏みとどまった。さらに300人は何らかのトラブルを抱えていた、と想像できます。
人間、逃げ道を失った時に死を選びます。きっと、責任感が人一倍強い子が、部活+キャプテンで追い詰められたのでしょうね。もし、自分のお子さんが精一杯頑張った末に行き詰まっていたら、「がんばれ」ではなく、「休んでも良いよ」と言うなど保護して頂きたいと思います。
 子供を甘やかせ、と言っているわけではありません。ハードな練習でも、指導者が十分に準備・説明した練習は必ず意図が通じます。また、ゲームでの失敗は、長時間の説教より、どうしたら失敗しないで上手にできる様になるかを考えさせる方が効率的です。ピンチに強くなるための練習方法は、ビンタしたり暴言を浴びせたりする代わりにいくらでもあるのです(同年齢の桑田真澄氏が、似たような事を語ってくれて嬉しく思います)。
ところで、指導を受ける側に問題がある場合は、まったく話が違ってきます。
もし、家庭でお子さんに指示が通りにくく、育て方に困難さを感じる場合(頻繁に叩きたくなってしまう等)ありましたら、かかりつけの医師に相談されて下さい。カウンセリングやトレーニングを早めにした方が、お子さんの長所を伸ばせたり、集団生活への適応もしやすくなる可能性があります。
 特に育て方に困難さを感じておられない場合は、叱る時はちゃんと叱る、叱らなくても良いと思った時はスルーする、という区別を徐々につけて頂くのも3歳から6歳となり、小学校生活をする準備段階として重要なポイントになるように思います。自由と無節操は違います。時々、保護者の方で軽く「ダメよ~」と言っておられる方を見ますが、逆効果です。中途半端な禁止は、推奨になってしまいます。軽い「ダメよ~」を連発されても、それをスルーする癖がついたお子さん、小学校以降が大変ですし、他の大人から本気で叱られた時の対応方法も獲得できていない方が少なくない印象です(私自身、ダメ親〔自分の子供達を叩いたり、不適切な対応をしました〕で、深く反省しています)。
最後に、僅かな手当で休日のプライベートを子供たちに捧げ、すばらしい指導をされる方々の存在を忘れていない事と、その方々への感謝を述べて結びにしたいと思います。
<園医>宮原小児科医院 宮原道生先生
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