教育改革の推進

健康管理

園医さんのワンポイントアドバイス

幼稚園の園医さんによるワンポイントアドバイスをご紹介します。幼稚園園医 宮原小児科医院 宮原道生先生です。
2015年8月園医さんのつぶやき「おたふくかぜについて」
おたふくかぜ(流行性耳下腺炎、またはムンプス)の患者さんがおられます。
症状は、耳下腺(じかせん;耳から頬にかけて)、顎下腺(がっかせん;あごの下)のどちらか、または両方が腫れて、48時間以上腫れが続くのが特徴的です。発熱は高い人から、そうでもない人と様々です。唾液の中に、耳下腺が腫れる2~3日前から発症5日後くらいまでウイルスが放出され、飛沫や接触で感染します。インフルエンザの様な迅速診断キットはありません。症状が典型的でなかった場合は、1か月後にムンプスIgGを測定する場合もあります。
よく、「小さい頃、周囲で流行したのに、発症しなかった」と言われる方がおられます。4歳未満ですと、40%くらい不顕性感染(ふけんせいかんせん)と言ってウイルス感染は起こしたけど唾液腺が腫れない人がおられます。
 不顕性感染でも、周囲にある程度の流行があって数年ごとの免疫のブースター(底上げ)があれば、免疫は一生持続します。しっかり症状の出た顕性感染の方でも、周囲に流行が無かった場合は、徐々に免疫が低下して再感染を起こす可能性があります。
 比較的多い合併症としましては、難聴、無菌性髄膜炎、精巣炎などがあります。唾液腺の腫れ始めから1週間までの間くらいに、頭痛・嘔吐・発熱があれば無菌性髄膜炎が疑われます。精巣炎は幼児には起こりにくいとされていますが、年齢が上がるとともに合併する頻度が上昇してきます。
ムンプスウイルス以外でも耳下腺炎は起こりますが、他の原因による耳下腺炎の場合、腫れる期間が短く、通常48時間未満で落ち着きます。
 ワクチンは、1回接種では完全に感染を防御できませんが、難聴の合併率を下げる事が期待でき、余裕があれば1度受けてみられてはいかがでしょうか?残念ながら、患者さんに接触した直後のワクチンの効果はあまり期待できないと言われています。ですので、余裕のある時にワクチン接種を行う事をお勧めします。
 登園停止は、耳下腺または顎下腺が腫れた日の「翌日」から1日と数え始めて5日目までです。

7月末、ようやく梅雨明けしたのではないか?と発表がありました。猛暑の中、海や川のレジャーが楽しみですね。以前にも書かせて頂きましたが、①遊泳禁止の場所で泳がないで下さい。②離岸流(りがんりゅう)で沖に流されたら、岸に平行に泳いで離岸流から脱出を図って下さい。③テトラポッドの上で遊ばないで下さい(落ちたら自力では決して上がれません)。など宜しくお願いします。危険をしっかり回避して頂いて、楽しい新学期を迎えましょう。
<園医>宮原小児科医院 宮原道生先生
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