教育改革の推進

健康管理

栄養士さんのワンポイントアドバイス

第12回『いただきます・ごちそうさま』
 私達は一日のうちで何度くらい「いただきます・ごちそうさま」を言うのでしょうか。少なくとも一日に三回は食事をする私達には、生活に密着した言葉ですね。
 この「いただきます・ごちそうさま」という言葉は日本語独特の表現で、英語にはないそうです。英語では食前の祈りで、宗教的な意味あいが強くなります。
 もともと「いただきます」は、神様にお供えしたものを食べる時や、位の高い方から物を受け取る時に頭(頂・いただき)にかかげたということからきているようです。
 今は大きく二つの意味があります。一つは料理を作ってくれた人や、その食事に携わってくれた人に対する感謝です。調理してくれる人は、その人の命の時間を使って料理を作ってくれています。もう一つは、食材である魚・肉・野菜・果物にも命があり、それらの命をいただいて、私達人間が自分の命を維持し生存することへの感謝、また偉大な自然への感謝の気持ちです。
 あなた(食材である動物や植物)の命をいただいて、私の命に代えさせていただき、私達が生存しています。これは、日本人古来の考え方であり、食文化を映す言葉です。万物に対する感謝がこころの栄養にもなっていくと思います。
 魚は私達に食べられるために大海原で養殖されているわけではありません。野菜も人間に収穫されなければ、花が咲き種が大地に落ちて、次の命とつながっていくのです。
 「ごちそうさま」は漢字では「御馳走様」と書きます。昔は現代のように交通手段も発達していませんし、冷蔵庫もありません。ましてスーパーマーケットもない時代に食材をそろえるのは、それはそれは大変だったに違いありません。食事を出してもてなすために走り回り、大変な思いをして食事の準備をしてくれた方への感謝の言葉です。
 「食」は「人」を「良」くすると書きます。食は身体とこころの基本です。「いただきます・ごちそうさま」の言葉は、子ども達に対して命の尊さを伝える大切な言葉です。命をいただく大切さをもう一度親子で考えてみませんか。
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